こんにちは、山崎理恵、通称みりえです。
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@mi_rie_yamazaki
さて、昨日は、一人で『この世界の片隅に』を観てきました。
この主人公のすずさん、空想的でかなり抜けてて、
ああ、わかるわあ、という感じです。
私は、「しっかりしている」ように見えるようなんですが、
プライベートは、昔からすずさん寄りです。
昨日も、一人で川崎の映画館に行ったのですが、
初めてのところだったので、駅員さんに、
これ、文字通り、このとおりに聞いてます。
日本って、すごいと思うんですよね。おもてなし感が。
駅員さん、にこにこ笑って、ちゃんと答えてくれます。
「ありがとうございます」、とうっかりそのまま通り過ぎてしまいそうなのを、
「タッチしていってくださいね」とにこにこ。
こんな私ですので、空想的で抜けているすずさんに、いきなり同調です。
で、観終わった感想は、これは、戦争映画、恋愛映画ではなく、
「生きるとは?」という、生き方の映画だと思いました。
以下、ネタバレです。
戦前の女性の生き方
1,日本昔話のように、牧歌的に始まって、
結婚
最初見た時は、ちょっと古くさい絵だな、と思いました。
話の始まりも、子どものすずの空想とごっちゃになっていて、
日本昔話のようです。
すずは、空想的で、絵を描くのが得意です。
右脳派なんですね。
たいてい、ぼうっとしています。
で、すずの性質になれたところで、
18歳のすずに縁談がやってきます。
すずを見初めたという人が、親と一緒に尋ねてきて、
これまで会ったこともないのに、すずはその縁談を
受けます。
今では、考えられませんよね?
結果的に、この婿の周作さんはとてもいい人で、
舅、姑もいい人です。
少しすると義姉が子連れでやってきて、この義姉は
ちょっときつい人で、そのストレスもあって、
すずの頭にハゲができます。
すずはぼうっとしているようですが、繊細なんですよね。
それでも、すずは、明るく天然なところが、みんなに気にいられ、
舅、姑、近所の人にもなじんでいきます。
きつい義姉も、なんだかんだ、すずを受け入れています。
そういう日常が、愛しく描かれています。
2,戦争がどんどんひどくなり、
日常に影が増していく
そんなすずの日常に、戦争の影が日増しに濃くなっていきます。
空襲の映像は迫力があり、牧歌的な田舎の風景を一変させます。
義姉とその子、晴美とすずの3人で、街にでかけた時に、
空襲に会い、すずは、右手をなくし、晴美は命をなくします。
晴美を、すずが見ていた時です。
義姉に「人殺し」となじられます。
すずも、晴美を子どものようにかわいがっていました。
右手は、絵を描くことが好きなすずにとって、とても大切なものです。
子どもの頃からずっと描いてきて、憲兵ににらまれても、
描き続けていた絵です。
すずが、すずである、象徴です。
3,戦争に負け、終戦の玉音放送を聞き、
怒りを出すすず~その怒りは?
牧歌的で、天然のすずが、なくした右手を地面にたたきつける
ようにして、怒ります。
その怒りは、戦争に対する怒りというより、
自分の人生が、自分の預かりしらないところで、
コントロールされていることにたいする、怒りだと、
私は思いました。
このお話って、とてもいいお話です。
感動もしました。
とちゅう、泣きそうになりました。
けれど、なんというか、それじゃあ、
戦争がなく、たまたま周りがいい人だったら、
そこで日常を大切にして、暮らしていけばいいのかな、
と、私はとちゅう、思ってしまったのでした。
すずは、日常を大切に生きていました。
子どもの頃から、おだやかな性質で、優しい子でした。
けれど、人生のうえで大切な結婚は、
自らが決めるというより、縁談がきたから
受けました。
その毎日は、「戦争中だからこうすべき」に、従う毎日でした。
どれも、戦中の、昔の日本の田舎の女性なら、
当たり前のことだったでしょう。
すずの場合、たまたま、夫、舅、姑がいい人でした。
義姉だって、きついけれど、悪い人ではありません。
けれど、すずがちゃんと自分で選んだわけではありません。
縁談がやってきて、ただ受けただけです。
ひどくなかったのは、ただの運です。
戦争がひどくなったのも、ただの運です。
すずは、運に翻弄されているように見えました。
4,そしてすずは、自分の道を選ぶ
広島に原爆が落とされる前、
すずは広島に帰ろうと思っていました。
その時、義姉が言います。だいたいです。
「私は自分で好きに生きてきた。あんたは違う。
自分で選べばいい」
ここ、ですよね。
大切なのは、ここ、です。
すずは、ずっと、自分で選んできたわけではない、
ということ。
周作も、原作では、初めは、結婚したかった遊女のリンの
代わりに、すずを嫁にしたようでした。
それが、すずと毎日を過ごすうちに、すずが愛しくなります。
すずに言います。
「あんたを選んだんは、わしにとってたぶん最良の選択じゃ」
原作では、すずは、自分は代用品なのでは、と悩んでいたようです。
戦争が終わり、周作はすずを心から大切に想い、
すずも、その想いを受けとめます。
「ありがとう。この世界の片隅に、うちをみつけてくれて。」
すずは、周作と生きて行くことを、自分で選んだのです。
そして、広島で出会った孤児を、ひきとります。
孤児の母親は、原爆で、すずのように右腕を失い、亡くなりました。
あの亡くなった母親が、すずでなかったのは、運です。
すずは、広島の実家に帰ろうとしていました。
タイミングが悪ければ、原爆で亡くなったあの母親の姿は、
そのまま、すずの姿だったのです。
避けられない運もある。
そのなかで、自分で1つ1つ選んで、
悔いなく生きる
避けられない運も、あるでしょう。
大きな流れのなか、自分1人では、どうしようもないことは、
あるでしょう。
何かにまきこまれることも、あるでしょう。
いつ事故にあうか、わかりません。
いつ何が起こるか、わかりません。
けれど、そのなかで、その時どき、
1つ1つ、自分で覚悟して選んでいかなかったなら、
それは、結果として良かったとしても、
自分にとっては、なにか歯がゆいのではないでしょうか。
自分の人生を、生きているような気がしないのではないでしょうか。
この映画は、戦争映画でも、恋愛映画でもないと、
私は思います。
「生きるとは?」という、生き方の映画だと思います。
すずさんの時代は、情報もなく、あまりにも選択肢が
ない時代でした。
今は、違いますよね?
情報は、得ようと思えば、たとえ隠されたものが
あったとしても、すずさんより格段に得られます。
貧しく育ち、遊女にならざるを得なかったリンさんとは、
格段に違います。
ならば、現代を生きる女性として、
自分の人生を、自分が覚悟して選ぶ。
そのほうが、悔いがないと思うんですよね。
結果がどうであろうと。
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